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2012年5月26日 (土)

佐藤直幹氏の5角形のバラ(Naomiki Sato Rose)-2

このバラの原作者の佐藤直幹氏からもコメントいただき、ビックリしています。
ハードルが上がってドギマギしてますが…。
お待たせするほどの内容でもないので、予定より公開を早めました。
続きをどうぞ。

前回は、Naomiki Sato Rose を折る際に問題となる誤差の発生原因について考えてきました。

それでは引き続き少しでも上手く(安定して)折るための具体的手法を検討してみましょう。

さまざまな精度誤差、折り誤差の中で特に問題となるのは、内周花弁形成時に累積した誤差が、このバラの表情を左右する外周花弁の形成に大きく影響を与えてしまうことです。

誤解を恐れずに端的に問題点を表現してしまうと、「このバラの外周花弁は単独で定義されておらず、内周花弁を作った残りとして定義されている」ということです。
このため内周花弁の誤差がそっくりそのまま外周花弁に引き継がれてしまうことになります。
さらに外周花弁は紙の端面の最終工程ですから、次の工程に誤差を受け流すこともできず、累積した誤差を少ないリソースの身ですべて受け入れなければなりません。
(虐げられた外周花弁が不憫です(涙))

そこで、「内周花弁形成時に発生する誤差を、外周花弁の形成段階に持ち込まないようにする」ためには、外周花弁を内周花弁とは別に単独で(あるいは単純な形態で)定義できれば良いと思われます。

Naomiki Sato Rose-1
Naomiki Sato Rose-1

例えば折る順序を入れ換えて、先に外周花弁を形成しその後内周花弁が形成できれば「ねじり折りの立体化」や「2重中割り折り」で誤差や歪が発生しても内周花弁のみの問題となり、外周花弁への影響はなくなります。(外堀を埋めてしまうということですね)

しかしながら、そう簡単に折る順序を入れ換えることはできそうもありません。

そこで、誤差や歪の発生する一番の要因である「ねじり折りおよびその立体化」ならびに「2重中割り折り」を排除したシンプルな「仮の内周花弁」を作成し、この状態で先に外周花弁の形成まで折り進め、この後に正式な内周花弁を形成する手法を検討してみました。

折る順序を入れ換える代わりに、誤差の発生しやすい難しい箇所をバイパスして、先に外周花弁を作っちゃおう!という作戦です。

花弁増しの技法として用いられる「2重中割り折り」は、後から加えられたものですので排除することは容易です。

ねじり折りを排除することは、前にツイスト系川崎ローズで示した通りNaomiki Sato Roseでも可能です。詳細は後で具体的に説明します。

ねじり折りを排除したNaomiki Sato Rose
ねじり折りを排除したNaomiki Sato Rose

Naomiki Sato Roseからねじり折を排除すると、5角柱に内周花弁が巻きついた形状となります。これがねじり折りと花弁増しを排除した仮の内周花弁です。

ねじり折りを排除したNaomiki Sato Rose
ねじり折りを排除したNaomiki Sato Rose

捻じれや歪のない単純な構造ですので、折り誤差を最小限にすることが可能と思われます。ここでの誤差発生の要因は紙の厚み(+人的要因?)程度でしょう。

このような仮の内周花弁を形成した上で外周花弁を形成します。

実際には完全に形成する必要はなく、外周を上に折り上げるあたりまでで良いと思いますが、Naomiki Sato Roseの練習として、一度は最後まで折ってみると良いでしょう。

この「ねじり折りおよびその立体化」ならびに「2重中割り折り」を排除した状態で、外周花弁がきちんとバランスよく形成されないようであれば、内周花弁形成以外の部分で発生した誤差による問題と考えられますから、もう一度精度に気をつけて丁寧に折りなおしたほうがよいでしょう。(5角形に切りだす精度も含めて)

この後、内周花弁のねじり折り、立体化、2重中割り折りを行い、仮の内周花弁で付けた折り目に従い外周花弁をもう一度形成してやれば、内周花弁形成時に発生する誤差を、外周花弁の形成段階に持ち込むことを防ぐことができます。

いっぺんに「ねじり折り」、「2重中割り折り」両者を入れる前に、「ねじり折り」単体の基本形から試してみるとよいと思います。



それでは以下に、ねじり折りの無い仮の内周花弁の作り方の詳細を説明します。

ここではNaomiki Sato Roseに限定せず、一般のねじり折りを用いたバラからねじり折を排除する手法として説明します。(川崎ローズにも適用可能です)

まず、ねじり折りを行う内周花弁の尾根ラインに着目し、これを中心に向けて少し延長します。具体的には、既に付けられている内周花弁の尾根を表からつまんで山折りし、折り目を中心方向に伸ばします。

内周花弁の尾根ライン(青)を中心に延長する
内周花弁の尾根ライン(青)を中心に延長する

写真は用紙の裏面で、内周花弁の尾根ラインは谷折り(青)になっています。この際に中央にできる5角形(用紙が正方形の場合は4角形)が、真ん中の5角柱の上部の平らなところになります。

2つの尾根ラインのなす角度を2分するよう山折り(赤)する
2つの尾根ラインのなす角度を2分するよう山折り(赤)する

隣接する2つの尾根ラインの交点(中央の5角形の頂点)から、2つの尾根ラインのなす角度を2分するように山折り(赤)で折り目をつけます。

2つの尾根ラインが同じ高さに重なるよう折り目をつける
2つの尾根ラインが同じ高さに重なるよう折り目をつける

具体的には、用紙の表から隣接する2つの尾根ラインが、同じ高さに重なるように合わせて折り目(表からは谷折り)をつけます。

ねじり折りを排除した内周花弁
ねじり折りを排除した内周花弁

5本の折り目をしっかりつけて、真ん中の5角形を中心に巻くように整えれば、ねじり折りを排除した内周花弁が完成します。

以上が一般のねじり折りを用いたバラからねじり折を排除する方法です。



Naomiki Sato Roseではこの仮の内周花弁形成後、外周花弁形成のため外周を上に折り上げ、しっかり折り目をつけておきます。

5角柱の周りに花びらを巻きつけた構造になりますから、ひっくり返した穴の大きさも上面の5角形と同じ大きさになります。Naomiki Sato Roseは半開構造で裏に穴が開いていますが、この穴は本来この大きさになることが理想的と考えられます。

実際には紙の厚みの影響やさまざまな誤差によって、なかなかこれほど小さくするのは難しいようです。それでも、理想的な形状を知っておくことは極めて重要だと思います。

Naomiki Sato Rose-2
Naomiki Sato Rose-2

上手く折るための練習のステップをまとめてみると、

1.仮の内周花弁を用いて、外周花弁を最後まで形成してみる。
    →バランスよくできていなければ、精度に注意して最初から丁寧に折りなおす。

2.仮の内周花弁で外周花弁の定義を行い、この後内周花弁にねじり折りを加える。
    →問題があれば、ねじり折りを練習しましょう。

3.仮の内周花弁で外周花弁の定義を行い、この後内周花弁にねじり折り+2重中割り折りを加える。
    →上手くできなければ、2重中割り折り+ねじり折りをもう少し練習しましょう。

このような折り方と練習方法で、「ねじり折り」、「2重中割り折り」などの特殊な折り方に不慣れな方でも安定して折り上げることができるようになると思います。

もちろん、うまくできない箇所は上手くないままですが、誤差が伝播しにくく、伝播したエラーによって全部ダメになってしまうことはないので、折り手のモチベーションを下げずに楽しく折れると思います。
(1回や2回ならまだしも、あんまりうまく折れないと誰だって凹みますからね。)

問題点の発見・切り分けもしやすいので、少ない反復回数で上達できると思います。

佐藤直幹氏から頂いたコメントには、
「誤差でも均等にすることで、折り手の「個性」になるのかなと思っております。」
とあります。

まったくその通りだと思います。うまく誤差や歪を与えて望みのフォルムにするのも折る楽しみといえるでしょう。

ただし、折り始めた最初のうちは、折るたびに背が高くなったり低くなったり、曲がったり、原因不明で上手くできてしまったり(笑)するものです。今回は、これらの不安定な原因(誤差)を取り除いて、本来のあるべき姿に安定して折れるようになることが目的です。

十分に安定して折れるようになった次の段階で、自分のイメージに合う形状にシェイプすべきなのではないでしょうか。

今回参照したNaomiki Sato Rose の折り方は、佐藤氏のサイトトGalerie de plis (折り目のギャラリー)の、基本形rose pentagonale(五角形のバラ) と、この基本形に花弁増しを入れたrose avec pli inverse...(逆折のバラ?) として公開されています。(フランス語ですが折り方の手順は何とかなります)

わかりにくい箇所は、ako さんKUPO さん のサイトにも詳しい解説がありますので参考にされると良いと思います。ただし原作者:佐藤直幹氏の意図を正確に把握するためにも上記のフランス語サイトは必ず一度は目を通して、原作者の表現を確認しておくことをお勧めします。

川崎ローズが折れるようになって、新しいバラの折り紙を探している方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

また、Naomiki Sato Roseにチャレンジしてみたはいいが、うまくできなくて凹んでいる方の参考になればとも思います。

おまけ

Naomiki Sato Roseから、ねじり折りを排除すると5角柱に花弁が巻きついた構造になりますが、この5角柱の上面の5角形を、風船の基本形の要領でつまんで先端を尖らせ、ねじってやると・・・、

ツイスト系 Naomiki Sato Rose
Naomiki Sato Rose にもツイスト系の魔の手が・・・

ツイスト系の花芯を形成することができます。

標準のNaomiki Sato Roseに飽きたり、ねじり折りがどうしても苦手という方は(気分転換に)試してみてはいかがでしょうか。

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本家の川崎ローズ「薔薇」(ちょっとむずかしいほう)も5角形で折ってみました。
こちら  

Naomiki Sato Rose の別バージョン、逆中割り折りスタイルも折ってみました。
記事はこちらです。

佐藤直幹氏の書籍「バラの折り紙」の紹介はこちらです。

佐藤直幹氏の「-1枚の紙から折るー バラの折り紙」はこちらから購入できます。

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コメント

こんにちはhappy01

>折るたびに背が高くなったり低くなったり、曲がったり、原因不明で…
まったくそのとおりで…何が原因かが分からないのでdownの日々でしたwobbly

>2つの尾根ラインのなす角度を2分するように山折り(赤)で折り目をつけます。
これで「考案者の佐藤氏が言われている1/3の線」が五辺に正確に入りますね。

さっそくこの方法でNaomiki Sato Roseを折ってみました。
五角の円筒状にしっかり巻きつけて形成し、一度解いてからいつもの手順で折りました。
巻きは安定したものになりましたgood

私の場合、5枚の外周花びらが一枚一枚違っていて同じに折れない問題も…coldsweats02
こちらの方の解説もお願い出来れば幸いです。
これからもよろしくお願いいたします。

投稿: KUPO | 2012年5月27日 (日) 08時25分

>> KUPO さん、

コメントありがとうございます。
少しはお役に立てたようで何よりです。

個人的には、KUPOさんのブログで拝見できるバラは十分美しいと思いますが…。

「練習ステップ」の第1段階として示したように、
仮の内周花弁で、きちんと最後まで完成(外周花弁を形成)させてみてください。
この状態で外周花弁のバランスが取れない場合は、ここまでの折り方に精度的な問題があることになります。
現段階でアドバイスできるのは、「5角形の切り出しを含む精度に注意して丁寧に折りなおす」ぐらいでしょうか。
満足できる外周花弁ができるまで、Step1を繰り返し練習するのが良いかと思います。
これで外周花弁がOKとなったら、次のStepでねじり折りや2重中割り折りを、段階を踏んで入れてゆくと良いと思います。

より美しいバラ(今でも十分キレイです)が完成したら、拝見させてください。ご健闘お祈りします。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月27日 (日) 09時15分

5本の折り目をしっかりつけて、真ん中の5角形を中心に巻くように整えれば、ねじり折りを排除した内周花弁が完成します。

まさに、この通りです。実際の薔薇では、外周の花びらの成形が既に済んでいるので、基準線を見つけるのが難しいかもしれませんが、この工程で私は、尾根ラインを全て同じ高さにして、3分の1(中心の垂線からは8分の1の、3分の2)の線に気をつけながら「巻き」を行います。この工程でこの2つを基準にすると、両端を抑える形になるので、シリンダー形にするときにねじりの誤差を最小に抑える事が可能になります。

中割り折りを入れない薔薇では、この2つの基準を少しずらす事でまた違った雰囲気の薔薇になりますが。ただ全てを同じにずらさないといけないので新たな基準をきちんと考える必要があります。

中心が平たい薔薇も面白いですね。平たい部分に何か印刷するとか、何かに使えるかもしれません。

色々な考察ありがとうございました。これでこの薔薇のハードルが少しでもさがれば嬉しいですね。

投稿: 佐藤直幹 | 2012年5月28日 (月) 09時36分

なか様

三分の一の線と呼ばれている線は
「rose pentagonale」では工程23、
「Nouveau diagrame de la rose」では工程39、
それぞれに点線で表示されている線のことです。

投稿: KUPO | 2012年5月28日 (月) 14時33分

>> 佐藤直幹 さん、
コメントありがとうございます。
小生は「◆折り紙で作る薔薇◆」コミュは拝見したことがないので、これまでどんな議論や解説が行われたか全く存知上げないのですよ。
それ故、若干?もありますが、とりあえず少しでもお役に立てれば幸いです。
小生のように、佐藤さんの公開されているサイトのみの情報で折る方もいらっしゃるかと思います。
一部のマニアに限定されることなく、そのような方の一助になればと考えています。
今後ともよろしくお願いします。

>> KUPO さん
ありがとうございます。よくわかりました。
また、素敵なバラを拝見させてください。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月28日 (月) 15時03分

はじめまして、
訪問していただいてありがとうございます。
バラの折り紙を初めて、拝見させて頂きました~
とっても、素敵ですね・・
解説付きで、よくわかります。
また、ブログにお邪魔しますね

投稿: maririn5225 | 2012年5月29日 (火) 14時52分

なかさん、はじめまして。
うりきちと申します。
Naomiki Sato Roseの美しさにひかれて、昨年の秋から折り続けています。
KUPOさんのブログを通して、こちらに伺いました。

 私は外周の花びらが扇風機の羽根のように飛び出してしまう症状にずっと悩まされていました。
「扇風機の羽根症候群」の原因が誤差によるものだとわかっていたので、
近似法で正五角形に近い五角形を切り出したり、
丁寧に正確に折っったり、誤差を小さくする努力を重ねていたのですが、
努力空しく、その症状はひょいと出てきて、その度にがっかりしていました。

今回、「3分の1の線」の定義を拝見して、今まで胸につかえていたものがとれました。誤差のおおもとがやっとわかりました。
ありがとうございます

早速折ってみました。
おかげさまで私の薔薇がだいぶ安定してきました。苦手だった順中割折りの薔薇の形が決まるようになりました。本当にありがとうございます

取り急ぎお礼まで。

投稿: うりきち | 2012年5月29日 (火) 15時39分

>> maririn5225 さん、
コメントありがとうございます。
どうでしょう、見ていたら折りたくなってきませんか?
maririn5225さんも、楽しく、美しいバラの折り紙の世界にドップリはまってみてはいかがでしょうか?
またいらしてください。

>> うりきち さん、
ご訪問ありがとうございます。お役に立てたこと大変嬉しく思います。わざわざのご報告ありがとうございます。
Naomiki Sato Roseは美しいがゆえに、上手にできないのはつらいですよね。苦悩して、指先を呪って、2度と折るものか!と思ったりします。(ちょっと大袈裟かな)
小生が苦悩して出した答えが今回のこの記事です。
多くの方に役立てていただいて、Naomiki Sato Roseが一部のマニアだけのものでなく、もっと身近な存在になったらいなぁと考えています。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月29日 (火) 16時16分

Naomiki Sato Rose 素敵ですね!
折り方は大体分かったのですが、仕上げの部分が
どうしても綺麗にいきません。
何度も挑戦しているのですが、ご指導下さい。
よろしくお願いします。

投稿: fumi | 2015年3月 6日 (金) 17時41分

>> fumi さん、
佐藤ローズは、このバージョンよりずっとやさしい「シンプルローズ」がありますので、こちらから取り組んでみると良いと思います。
佐藤さんのフランス語のサイトを覗いてみてくださいね。
まぁ、佐藤ローズは最近バージョンが多すぎてついていけてないんですが…。

投稿: なか(管理人) | 2015年3月 6日 (金) 17時51分

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