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2012年5月25日 (金)

佐藤直幹氏の5角形のバラ(Naomiki Sato Rose)-1

月刊おりがみ第442号(2012年6月)の読者の広場に、佐藤直幹氏の5角形のバラ(Naomiki Sato Rose)が紹介されました。

佐藤直幹氏はフランス在住のポップアップアーティストとして活躍されている方で、フランス折紙協会の副会長もされているそうです。日本では川崎亜子氏がこのバラの普及に尽力しておられるようですね。

以前、紙ふうせん紹介記事を読んだりして、最近話題になっていることは知っていたのですが、なかなか機会がなくて取り組むことができませんでした。

月刊おりがみの記事が目に入ったのでこれをきっかけに折ってみることにしました。

Naomiki Sato Rose

Naomiki Sato Rose には種類やバリエーションがあるようですが、今回は佐藤氏のフランス語サイトGalerie de plis (折り目のギャラリー)からrose pentagonale(五角形のバラ) の基本形にrose avec pli inverse...(逆折のバラ?) 記載の花弁増しを取り入れたものを折ってみました。

正5角形の両面同色の用紙が必要ですので、A4サイズのカラーコピー用紙から切り出しました。

5角形の用紙から折りだされる5枚の外周花弁が特徴的で、内周花弁がぎっしり詰まったボリューム感のある、大変美しいバラが完成いたしました。

従来の滑らかな曲線的な花びらを有するバラとは趣の異なる、直線的でシャープなイメージです。これがフランスの esprit ってやつでしょうか。(横から見ると若干サザエ的にも見えますが・・・これは小生の表現力不足でしょうね)

Naomiki Sato Rose

A4サイズの紙(21cm)から切り出した紙では、完成したバラの直径は5cmとかなり小さくなってしまいます。内周花弁がぎっしり、ぎゅっと詰まったと表現したように、折り紙にしてはずっしり重い感じです。

もちろん5角形から折る点が異なっていますが、ねじり折りやこれを立体化した構造、花弁増し(2重中割折り)の技法などは川崎ローズがベースになっているようです。

川崎ローズと異なるアプローチをとっているのは、内周花弁の尾根ラインを中心から用紙の頂点方向(4角形なら対角線上)に取っている点です。

これにより内周花弁を最も長くすることができ、その結果内周花弁がぎっしり、ぎゅっと詰まった構造を実現しています。

このように折り紙リソースを内周花弁に集中させているため、外周花弁はシンプルで裏蓋の閉じない半開構造となっています。

折ってゆく手順や工程が、長大であったり複雑であることは全くないのですが、このバラの表情を決める外周花弁をバランスよく形成するのが非常に難しかったです。難しいとの噂は聞いていましたが、まともな形になるまでずいぶん苦労しました。

川崎ローズを十分に折りこなして、ねじり折りやこの立体化ならびに花弁増し(2重中割折り)技法などを完全に身につけた方であっても、気楽に勧めることはできない気がします。

Naomiki Sato Rose

そこでまず、どうして難しいのか分析してみることにしましょう。その上でこの分析結果を用いて少しでも上手く折るための手法を検討してみたいと思います。

難しい(上手にできない)根本的な理由は、折り進める過程で発生する誤差により、最終的に形状が歪んだり、バランスが崩れてしまうことだと思われます。

折り紙をひとつのシステムとして捉えると、システム要素である「折る工程」で生ずる誤差が出力(完成作品)に大きく影響を与えやすい、センシティヴなシステムといえそうです。

この折り進める際に生ずる誤差(折り誤差)の発生の原因を挙げてみると…

1.5角形の用紙を用いる点
  5角形切り出しに伴って、どうしても切り出し精度により誤差が発生します。
  最初から精度のよい正方形の折り紙をそのまま使うより、はるかに不利です。

2.折り目の基準点の精度
  明確な基準線(点)どうしを合わせて折り目を定めるのではなく、「1/3」、「平行に」といった箇所があります。目安で折ってゆかざるおえませんので、なかなか精度を出すのが難しいです。

3.外周花弁が内周花弁の影響を大きく受ける
  このバラは、折り紙リソースが内周花弁に大きく割り当てており、外周花弁には必要最小限しか割り当てられていません。折る順序としては、内周花弁のねじり折りの立体化→外周花弁の形成の工程となりますが、内周花弁形成時に累積した誤差が、リソースの少ない外周花弁の形成を大きく左右してしまうようです。
同じ誤差であっても分母が小さいと大きな割合になってしまうということです。

上記1,2は時間をかけて丁寧に作業することで解決できそうですが、3の折り誤差が伝播蓄積してゆく問題が残ります。特に外周花弁はこのバラの表情を左右する箇所ですので、何とかしたいです。

もちろん練習を重ねて丁寧に折るのは当然なのですが、人間の作業ですから誤差はつきものですし、初心者には難しいでしょう。熟練者に成長するまでに、イヤになってしまうかもしれません。(小生も、何度も投げ出したくなりました。)

特に内周花弁形成に用いられる、「ねじり折りの立体化」はねじり構造を持つ複雑な折り方ですし、花弁増し技法に用いられる「2重中割り折り」は本質的に歪を与える折り方ですので誤差の発生を回避するのは難しいと思われます。

川崎ローズでは、あらかじめ用紙にグリッドを折り込んでおくなどの手法が折り誤差の累積防止に貢献していると考えられます。さらに最後の裏蓋にも外周花弁の角度配置を安定に形成させる効果がありそうです。

Naomiki Sato Rose

なんだかNaomiki Sato Roseに批判的な表現が多くなってしまいましたが、美しい造形の折り紙ですし佐藤氏の「いろんな人に折ってもらいたい」とのお気持ちを尊重する意味でも、誰でも上手に折れる折り方があればいいなぁと思っています。

さて次回は、少しでも上手く折るための手法として、内周花弁形成時に発生する誤差を、外周花弁の形成段階に持ち込まないようにする方法について具体的に記したいと思います。

Naomiki Sato Rose の折り方は佐藤氏のサイトトGalerie de plis (折り目のギャラリー)に、基本形rose pentagonale(五角形のバラ) と、この基本形に花弁増しを入れるrose avec pli inverse...(逆折のバラ?) として公開されています。(フランス語ですが何とかなりますョ)

川崎ローズが十分折れるようになった方は、腕試しと思ってぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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精度の高い5角形の切り出し方こちらの記事です。

Naomiki Sato Rose の別バージョン、逆中割り折りスタイルも折ってみました。
記事はこちらです。

佐藤直幹氏の書籍「バラの折り紙」の紹介はこちらです。

佐藤直幹氏の「-1枚の紙から折るー バラの折り紙」はこちらから購入できます。

 

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コメント

素敵です素敵です素敵ですhappy02
カーネーションで初めてお邪魔させていただいてからというもの、見ては癒されております♪

こんな素敵なバラが折れたら・・・と思うと・・・。
でも不器用な私には・・・。

そういえばですね・・・
数年前高松・松山一人旅の時、高松から金比羅さん駅に向かう道中でしたか・・・。
折り紙協会の方と偶然お話させていただくという出来事があったのを思い出しました。
私自身が介護職してるので、そういう話から、施設に伺ったりしても折り紙の良さを知って頂く活動もしてるんですよ~と。
どんどん折り紙普及してくださ~いって(^-^)

それから数年・・・。
折り紙に触る事もなくですが、こういう難易度高いのは私には無理だけど私にできる範囲のものを普段から作ってみようかな~と再び思いました。

投稿: sachi | 2012年5月25日 (金) 00時53分

>> sachi さん、
コメントありがとうございます。
色鮮やかな折り紙で、色々なものを作ることは、とても楽しいと思います。出来上がった達成感もありますしね。
sachiさんもぜひお暇なときにでも、折り紙してみてください。やさしいものから、ご自分のペースで折ってゆけば良いと思います。小生も数年前は、「鶴なら折ったことある」程度でしたから…。
今後も、美しく面白い折り紙作品を紹介させていただく予定です。
ぜひまた、遊びにいらしてください。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月25日 (金) 01時33分

すばらしい薔薇。紙の魔法ですね! (^o^)

投稿: カノッチ | 2012年5月25日 (金) 11時43分

>> カノッチ さん、
コメントありがとうございます。
また、遊びにいらしてください。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月25日 (金) 11時58分

初めまして(^^♪
時々記事を読んでは読み逃げしていました(^_^;)

>難しい(上手にできない)根本的な理由は、折り進める過程で発生する誤差により、最終的に形状が歪んだり、バランスが崩れてしまうことだと思われます。

私もこの薔薇が好きで折るのですが、まったくその通りで、中々美しい薔薇を咲かせる事が出来ないでいます。
この後の記事をとても楽しみにしています。

投稿: KUPO | 2012年5月25日 (金) 19時18分

>> KUPO さん、
コメントありがとうございます。
管理人の「なか」です。
KUPO さんのような、ベテランの折師のお役に立てる記事に仕上がっているかわかりませんが、難しくて途中で諦めてしまった方(そういう方が多いようなので)の一助になればと考えています。
読み逃げ(笑)大いに結構です。読んでいただけるだけで十分です。
記事は次回に続きますので、またいらしてください。(長くなりそうだったので…、ご容赦ください。)
もちろん、またコメントいただけたら幸いです。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月25日 (金) 20時13分

こんにちは

川崎さんから、ブログを教えてもらい、早速読ませていただきました。
私は、自分のペースで折るだけで、あまり幾何学的、折紙学的な分析は苦手なので、興味深く読ませていただきました。鋭い分析でびっくりしました。
このバラは、確かに折りだけで言えばそれほど難易度は高くない(と思う)のですが、おっしゃる通り誤差が積み重なると最終作品のバランスが崩れてしまいます。逆に誤差でも均等にすることで、折り手の「個性」になるのかなと思っております。

ミクシーの薔薇コミュでも、皆さん苦労されていらっしゃるようです。次回の投稿、楽しみにしています。

投稿: 佐藤直幹 | 2012年5月25日 (金) 21時00分

>> 佐藤直幹 さん、

コメントありがとうございます。
管理人・執筆の「なか」です。はじめまして。
いやぁー、まさか原作者の佐藤さん御本人からコメントいただけるとは思ってもみませんでした。光栄です。
大変美しいバラを創作考案していただいたことに、深く感謝します。
思わせぶりな記事に期待させてしまったようですが、あまり期待せずちょっとだけお待ちください。
この美しい作品をみんなで楽しく(ふてくされずに)折らせていただくための一助になればと思います。
原作者の意向と異なる点などございましたら容赦なくご指摘ください。
今後のご活躍を楽しみにしています。
またいらしていただければ幸いです。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月25日 (金) 21時45分

これが折り紙だなんて驚きです
考えた人は凄いな~
説明みながら作れる人も凄い
私にはとうてい出来ませんね ため息

投稿: セタママ | 2012年5月25日 (金) 22時11分

>> セタママ さん、

コメントありがとうございます。
「考えたすごい人」からコメントいただいてます。(この1つ前です。)
「説明みながら作れる人」には、バラの折り紙修業を少し積めばできるようになると思いますョ。
とりあえず眺めるだけでも、いいと思います。でもだんだん自分でも作ってみたくなりませんか?
また、遊びにいらしてください。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月25日 (金) 23時24分

私からもご挨拶申し上げます。
はじめまして、akoこと川崎亜子です。
Naomiki Sato Roseに出会った頃だったか、
「五角のカワサキローズ」を検索していて
こちらのブログにたどり着きました。
最近、更新が再開され嬉しく拝読させて頂いていました。
そんな時に 佐藤氏のバラの記事が載り
大変驚き、大興奮で早速佐藤氏にお知らせしました。
私のブログのご紹介までして頂きありがとうございます。

とてもご苦労されたとは思えないほどの、
美しいバラの数々に 見入ってしまいました。
私は数学的なことは全くわからないのですが、
ただただ職人のように折っています(^_^;)

これからも楽しみにしています。
これを機にどうぞ宜しくお願い致します。

投稿: 川崎亜子 | 2012年5月25日 (金) 23時57分

>> 川崎亜子 さん、
コメントありがとうございます。
「なか」です、はじめまして。
そうですか、2年ほど忙殺されてまして、このブログも放置しておりました。
また来ていただけて嬉しいです。
それほど数学的な内容でもないのです。
Naomiki Sato Roseに取り組んでみて、「難しいなぁ」「なぜダメなんだ」と苦悩した内容を記した記事です。ご参考程度になれば幸いです。

5月29日に川崎ローズの講習をするそうですね。キャンセル待ちまで出てるとか…。
偶然にも同日に小生も横浜の三ツ境で折り紙教室を開講します。(こちらはなかなか参加者が集まらず苦労してますが…)

こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
イベント・講習の成功をお祈りしております。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月26日 (土) 00時33分

パソコン商材情報クラブのはじめです。
いつも有難うございます。
キレイな折り紙 見ながら楽しんで
います。これからも宜しくお願いします。
イベント(折り紙教室)の成功お祈りしてます。

投稿: はじめ | 2012年5月31日 (木) 16時53分

はじめさん、
コメントありがとうございます。
こちらこそお世話になります。
また、いらしてください。

投稿: なか(管理人) | 2012年5月31日 (木) 17時31分

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