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2015年4月 8日 (水)

5角形の切り出し精度(tan 72°近似の誤差)

寒の戻りというやつでしょうか、雨が降ったりして急に冬に戻ったような冷え込みです。
まぁ、天気が不安定というのも、それはそれで春らしい天気なのかもしれませんね。

今回は5角形の紙を切り出す手法とその精度について検討してみました。

基本的に「折り紙」は、正方形(ましかく)の紙を使って折り進めてゆくわけですが、実際には正方形に限らず、円や正多角形などの単純な形状の用紙から折り始める作品も多いです。

花などを実現する際には花弁の枚数に応じて、5角形や6角形、8角形の用紙を使用する例が多くみられます。

正方形からスタートする作品であっても、6角形や8角形に切り出す手順が工程の中に含まれている作品も多いようです。

前ご紹介した「5角形から折る川崎ローズ『薔薇』」や「鶴の基本形から折るバラ5角版」などは5角形の紙から折ってゆく作品です。

コアなファンの多い「佐藤ローズ」(Naomiki Sato Rose)も5角形の用紙から折る作品ですね。

ところが、世間に流通している紙(折り紙)はほとんどが長方形か正方形で、5角形の用紙を買ってきてそのまま使うということは、まずありません。

ですから、5角形で折る作品に取り組む際には、何らかの手法で四角い紙から5角形に切り出してやる必要があります。

さて、皆さんは正方形から5角形を切り出す方法として、どんな方法を使っていますでしょうか。

こんな感じのやり方でしょうか。

5角形の切り出し_A

それとも、こんな方法でしょうか。

5角形の切り出し_B

これら2つあたりが、最もポピュラーに使われている手法なのではないかと思われますが、これらの方法はいずれも、5角形の中心角である72°(=360/5)のタンジェント(正接)「tan 72°」の値を「」としてに近似した手法になっています。

関数電卓がお手元にある方はすぐ確認できると思いますが、

        tan( 72°) = 3.0776835371752534025702905760369

」にかなり近い値ではあるのですが、完全には一致せず誤差が生じます。

早い話が、これらの手法では「どんなにきちんと丁寧に折っても、絶対に正確な正5角形には切り出せない」ということを意味しています。

一般的には「実用上十分な精度である」とかいわれてる手法なのですが(「実用」って何?とか、「十分な」ってどのレベル?なんて気にするとキリがないんです。)、本来は使用目的に応じてきちんと精度が十分であるか検証する必要があるのではなかと思い、詳しく検討してみることにしました。

今回は個人的によく使う、最初の5角形切り出し手法(5角形の切り出し_A)について、どの程度の精度が出るのかを作業工程に従って明確に調べてみましょう。

この手法の解析は、このままだとなんとなく理解しにくいですが、下図のような補助線を入れるとわかりやすくなります。

5角形切り出し手法の解析1

3:1の比率を持つ直角三角形を使って、5角形の中心角72°に近い角71.565°をつくりだしています。tan( x )の逆関数 atand( x )で具体的に求めてみると、

    atand( 3 ) = 71.565051177077989351572193720453°

以下、5角形切り出しの手順に従って、切り出す5角形の中心角の角度割りを決めていきます。

5角形切り出し手法の解析2

最終的には、本来の正5角形の中心角72°より小さい中心角の辺3つと、72°より大きい中心角の辺2つで構成される5角形が切り出されることになります。

これは切り出された5角形の、2つ辺はちょっと長く、3つの辺はちょっと短くなっっていることを表しています。5つの辺を持つ5角形ではあるのですが、正5角形じゃないってことです。

5角形切り出し手法の解析3

実際の作業で誤差として実感するのは、2つの辺を重ねた時の大きさ(長さ)の違いです。

ちょっと長い辺P1と、ちょっと短い辺P2の寸法の差はどれくらいの大きさになるのでしょうか。

2つ辺の寸法差 e = P1 - P2 は、

      e = 2・k・[ sin(72.653/2) - sin(71.565/2) ]
            = 2・k・( 0.5924-0.5847 )

          k = L/2/sin72°= 0.5257・L  を用いて  

             e  =  0.0081・L

元の正方形の折り紙の大きさ L の0.8%程度の誤差が生じることがわかります。

これは、15cm折り紙で 1.2mm の寸法差、25cmの折り紙で2mmの誤差に相当します。

おそらく目で見て、あるいは手で触って、「アレッ、おかしいな」と十分感じる誤差なのではないかと思います。

実際には、紙の厚みに起因する誤差や、作業に伴う誤差もこれに追加されますが、一生懸命丁寧に折った際の誤差に比較するとかなり大きく感じます。

1~2mmの誤差を無視できるレベルとみるか、考慮しなければならないレベルと捉えるかは作品によって、きっと大きく異なると思われます。

特に20cm以上の大き目の紙を使用して、精度よく折りたい場合には、切り出しの過程で誤差が発生していることをきちんと認識しておく必要があると思います。

 

以上、一般的な5角形切り出し法には tan 72°≒ 3 近似のため0.8%程度の誤差がどうしても残ってしまうことがわかりました。

まぁ、確かにたかが1~2mmではあるのですが(こんなこと気にしてるようじゃ大物になれない…?)、5角形に切り出して「さあ折るぞ!」という段階で、出鼻をくじかれるというか、ちょっとテンションが下がっちゃうんじゃないでしょう。

それに「丁寧に正確に折れば折るほど確実に誤差が出る」なんて、理不尽な気もしますよね。

そこで、もっと精度よく(できれば簡単に)5角形を切り出す方法を検討してみました。詳細は別の機会にご紹介させていただこうと思っています。(こんな記事ばかり続くと面白くないですからね)  

解決編の記事はこちらをご参照ください。  「精度の高い正5角形の切り出し方

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コメント

五角形の切り出し、ずっとズレが気になっています。
バッテンのほんのちょっと下に角を持って行ったり、分度器を使って切り出していますがなかなかしっくりきません。
佐藤ローズを折る時に、そのズレが、花びらのバランスに影響してしまうので、より良い切り出し方はないかなぁと考えていますがなかなか、、、

投稿: | 2015年4月 8日 (水) 07時00分

コメントありがとうございます。
佐藤ローズはこの辺の精度が仕上がりを結構左右しますね。
Facebookのほうには佐藤さんからもコメントいただいていますが…。
精度の高い切り出し方法については後日記事(解決編)としてUpする予定です。
どうぞご期待?くださいませ。

投稿: なか(管理人) | 2015年4月 8日 (水) 07時13分

6月に佐藤ローズは本がでるそうですね。今からとてもたのしみにしています。

投稿: | 2015年4月 8日 (水) 21時17分

先日、佐藤さんからその旨お聞きしております。
楽しみですね。

投稿: なか(管理人) | 2015年4月 8日 (水) 22時06分

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