折り図のお絵描き ー2(完成図と作品写真)
11月に入ってようやく安定した秋らしいお天気が続くようになってきました。日も短くなってきて、朝晩はぐっと冷え込むようになってきました。季節の変わり目、食欲の秋とかいって浮かれていると体調を崩したりしますので、どうぞお体ご自愛下さいませ。
10月19日に発売となりました拙著「折り紙のバラとくすだま」は目を通していただけましたでしょうか。慣例にならって工程の少ない比較的やさしい作品から並べておりますが、気になる作品がありましたら、順序は気にせず取り組んでいただけたらと思います。
トーラス構造の薔薇S2は、掲載作品の中で最も複雑で手の込んだ薔薇で、読者の皆様を悩ます作品になろうかと危惧しておりましたが、発売から3日でSNS(Insyagram)上に書籍からの作品としてUpする強者もおられ、少し安心(陥落?もっとめんどくさい作品での武装が必要か?)したりしております。
入門用のやさし作品から、ユニット構成のくす玉や薔薇、一枚折りで複雑で手間がかかって原作者の悪意すら感じる作品(ちなみに作者に悪意は全くありませんのでご承知おきください。)を含め、楽しく?折っていただける作品が満載の書籍になっております。ご購入がまだの方は、ぜひお近くの本屋さんでお買い求めください。通販サイトご利用の方はこちらからどうぞ。楽天Books Amazon
さて今回は、少し前にご紹介した「折り図のお絵描き- 1(風船の基本形を描く)」の続きです。
書籍の出版にあたり、紙面に掲載する折り図が必要になりました。折り紙の本は、だいたいが折り紙作品の折り方・作り方を掲載・解説するものですので折り図は欠かせません。というか誌面の8~9割は図面で、書籍の顔というか主役とも言えます。
今回の書籍内の折り図をはじめとした図面は、すべて私が描画したものになっています。といっても、折り紙教教室で毎回お配りしている資料(折り図)をベースに加筆したもので、折り紙教室の生徒さんにとっては見慣れた図面かもしれません。
問題は使用するソフトウェアで、出版社はたぶんどこでもそうなんでしょうが、 adobe社 のソフト一式で印刷所への入稿データを作成しており、ベクトル描画図の作成には adobe の Illustrator が必要になります。
ただまぁ、一介の折り紙講師にはそんな高価なソフトウエアは使えず、というか(したり顔で?)使ってもいいけど、使用に見合うほどの売上があるわけもなく、前にも書きましたが私が使用しているお絵描きソフトは、無料で入手使用できる統合オフィスソフト Apache Open Officeに含まれる Draw です。
そういうわけで、当方がOpenOffice Draw で描いた図面を編集のためにトレースしてご使用いただきました。トレースと聞くと蛍光灯の入った台の上で烏口…、(「からすぐち」とか死語でしょうね、せめてロットリングとか?)というイメージですが、当方が作成した画像ファイルをIllustratorで読み込める形式に変換して、色や線幅を統一させるべくプロパティの変更・修正をするという作業です。(地味ですが、根気のいるめんどくさい作業ですね。それでもゼロから新たな図を起こすより効率ははるかに良いかと思います。何よりも原作者からクレームが入らないですからね)
無料で入手使用できる描画ソフトでも、書籍一冊分(1ページ10~12カットx90ページ=約1000カット?)くらいのお絵描きはできちゃうってことです。高価なソフトはきっと使い勝手が良くて、効率的に作業できるのかもしれません。でも使いこなすのには思いのほか時間がかかりますし、結局道具はシンプルが一番なのではないかと自負しております。(まぁ、貧乏人のヒガミってやつですかね。 そうそう、仕事がうまくできないのを環境のせいにしちゃいけないと自戒もしてます。うん、努力だけでどうにかなるわけでもないんだけどね。)
さてそれでは、今回の折り図のお絵かきの話に戻りましょう。
四角い平面の折り紙から順番に折り始めていって、最後に作品が完成したら「完成図」が必要です。
今回は書籍掲載のために気合を入れて描いた作品の完成図と、作品の写真を合わせてご覧いただきましょう。
カーネーションの花束の完成図(ラッピングペーパーはまだ)です。
実は折り図は5セルのカーネーションで、作品写真は六角充填のカーネーションなので、厳密には違いがあるのですが、まぁ、作品の雰囲気は伝わるかと思います。
バラ(C1)のテーブルフラワーです。
花束にしても、テーブルフラワーにしても、花の側面(あるいは正面)の図を1枚書いておけば、向きを変えて貼り付けるだけでアレンジ図が描けちゃうところがお絵かきソフトの素晴らしいところです。
最後はバラ(C3)の花束(ラッピング前)です。
折り紙教室での教材もそうですが、書籍の出版にあたっても折り紙のクリエイターとしては、きちんとした折り図を描くことはとっても重要です。折り手の皆さんを音楽の演奏家に例えるなら、折り図は作者の意図や思いがぎゅっと詰まっった「楽譜」と言えるでしょう。
新しい作品を創りあげる際に、そのゴールは作品の物理的な完成のみではなく、きちんと写真を撮るまでが作品制作であると考えるのが、昨今のSNSなどで作品を発表する時代の常識と思います。せっかくの作品を美しく綺麗に撮らないと評価してもらえませんからね。
折り紙作品に関しては、写真撮影がゴールではなく、よりわかりやすい折り図を完成させるまでが、作品制作の過程と考えるべきかと思います。見やすく美しい折り図もその作品を構成する一部ということですね。(「家に着くまでが遠足です」的な?)
さて、「折り図のお絵描き- 2(完成図と作品写真)」いかがでしたでしょうか。
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当ブログの作品を集めた拙著「折り紙のバラとくすだま」(日本ヴォーグ社 ISBN:9784529059138)です。
バラのくす玉をはじめ、バラ・カーネーションの花束やバラのテーブルフラワー等の人気作品も掲載。
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